2008年9月24日水曜日

<2日目の3>地中美術館へ 10:30AM

オーバル棟に行った後はしばらく館内をうろうろして、だいたい一通り見たところで、チェックアウトして島内のもう一つのアートスポット「地中美術館」に行くことにした。フロントに相談して、大きな荷物はホテルに預けておいた。
ここは撮影禁止の場所ゆえに外観のみ。だが、ここは本当にスゴイ。展示作品どころか、美術館の存在そのものが一種のアートだ。
まず、ここに写っている外観だが、これは実際の建物ではなくてチケットブースである。ここで入場券を買うと、秘密の研究所みたいな道を通って奥に行くように指示される。スタッフは皆研究所か宗教系にありそうな白装束で、人によってはマフラーとかマスクをしていたりするのだが、その無機的な統一感は、我々に訳もなく「怖い/怪しい/非人間的」という印象を与える。不安な時に見る悪夢みたいな光景でもある。この感覚自体が、まさにこの演出の狙っているところなんだと思う。
そういえば、ここのホームページも同じコンセプトで作られているようだ。http://www.chichu.jp/j/
安藤忠雄によって作られた建物は、コンクリートの打ちっぱなしで、ときどき敢えて傾いたような空間が作られていたり、階段を上り下りしなくても気がついたら地中深くに潜っていたり、面白い。建物自体が作品だ、と美術館自体が述べているのがよくわかる。
中に展示されている作品は、モネの「睡蓮」が4つ、ジェームズ・タレルの体験型の作品が3つ、そしてウォルター・デ・マリアの非常に大規模な作品が1つ。
「睡蓮」は真っ白な空間に天然の光を取り入れて展示されており、従来型の美術館ではあまり見られないような光の中でこの作品を見ることができ、作家の抱いた「印象」にできるだけ近づけるような試みがされている。
タレルの作品は、私はここで初めて体験したのだけれど、本当に面白い。すごく好きになってしまって、国内外にある彼の作品を追いにまた別の旅をしたいと思うぐらいだ。とくに「オープン・フィールド」はよかった。彼はさまざまな角度から光の可能性を追求しているアーチスト。彼の作品の中では、光、そして視覚というものについて考えさせられる。
そしてデ・マリアの作品は、まずその規模に圧倒される。自らが作品の中の一部となって歩き回ることができるので、さまざまに角度を変えて見ること、その見える風景、天から降り注ぐ光、それら全てがアートなのだろう。
共通して言えることは、ここは「光」について考える場だということだ。普段当たり前のように降り注ぎ、私たちに視界を与えてくれる光。その光という存在について、地中にある美術館の中で考えるというパラドクス。ある意味、地中でなければ成立しづらいコンセプトなのかもしれない。光の中では、光の存在には気づきにくいから。

<2日目の2>朝のオーバル棟 9:15AM

朝食のあと、もう一度例のケーブルカーで上層にのぼり、もういちどオーバル棟へ行った。実はオーバル棟は建物の上にのぼる階段がついているので、朝の光で眺めるとまた違ったものが見えるのではないかと思ったからだ。案の定眺望は素晴らしく、実は<2日目の1>で掲載した朝の海の写真はここで撮ったものだったりする。
で、ここではオーバル棟の朝の様子を掲載。<1日目の19>の写真と比べるとずいぶん雰囲気が違うのがわかる。