2008年3月13日木曜日

<1日目の17>ミュージアム内、夕食後の散策 8:30PM

食事のあと、シャトルバスに乗ってミュージアム棟へ戻った。

ベネッセハウス内のギャラリーは一般人でも8:00~21:00の間見ることができるが、宿泊していれば早朝や夜中も含めていつでも見られる。実際のところ遅い時間や朝早くは宿泊客しかいないので、自分のペースで好きな作品をのんびり見て回ることができるのだ。(ちなみにほかの棟内にも、いくつかの作品やデザインチェアなどが点在している)

ギャラリーの作品は、屋外展示と違って撮影もご遠慮下さい、ということになっているので写真は撮らなかったが、なかなか面白いものが多数ある。

なかでも私のお勧めを挙げるなら、

夜見るべき作品:ブルース・ナウマン「100生きて死ね」
朝見るべき作品:安田侃 「天秘」

以上2つ である。

ナウマンの「100生きて死ね」(100 Live and Die)は、ネオンサインを使った大型の作品で、館内のホールのど真ん中に設置されている。天井に明かり取りの窓があるので、ホールは昼は明るく、夜は暗い。で、この作品はネオンを使っているだけに夜のほうが圧倒的に存在感があるのだ。

50の異なる単語とLIVE、そしてDIEという単語を組み合わせた、カラフルな100のフレーズがひたすら明滅するこの作品は、そのテーマも夜にふさわしい。作品の目の前に椅子(これまたデザイナーもの)が設置されているので、夜、暗くなったホールで椅子に座って1~2分ぐらいはじっくり眺めていると、この作品はちらっと見て終わらせるのではなくて、この作品が放つ全てのメッセージを読み取るまで時間をかけて眺めることを要求している作品であることがわかってくる。

深く考えても興味深い作品だし、深く考えなくても足を止めて見ずにはいられない面白さがある。
こういう作品は大好きだ。

一方、安田侃(やすだ・かん)は、その名前は知らなくてもその作品はみんなどこかで見たことがある、というぐらいメジャーなアーティストである。東京国際フォーラムで、あるいは東京ミッドタウンで、とてもすべすべとした、手触りのいい大理石のかたまりが置かれているのを見たことがないだろうか。あれが安田侃の作品である。

このギャラリーでは、「天秘」は壁に囲われた屋外に設置されている。夜に行くと外は真っ暗だし寒いので、誰もその近くまで行こうと思わないどころか、私たちはその手前のガラス戸が誰でも開けられるようになっていることすら気づかなかった。

が、朝明るい光の中でそこへ行って初めて、作品の近くに「靴を脱いでおあがり下さい」(※不確か)という表示があることに気づいたので、あがってみた。というか寝てみた。冷たく硬いのに、なぜかやわらかい気がしてしまう石を寝床にして眺める、直島の朝の空は格別だ。・・・夜行けば星空が見えるのだろうけれど、少なくともこのシーズンでは、石の上ではたぶん寒くてのんびり眺めるところじゃなかろう。というわけで、朝がお勧めなのである。



<写真>「天秘」に寝転がって青空を見ながら世界の神秘について考える(?)masaccio

<1日目の16>ベネッセハウス・テラスレストラン 7:00PM

約1時間の散歩は楽しかったが、すっかり体が冷えてしまった。ほぼ全てを見終わったころ、夕食の時間になったので、今夜の夕食会場であるテラスレストランへ向かった。

ここの夕食は、コース料理のみである。私たちは体を温めたくて、スープのある6300円のコースを選んだ。

前菜、スープ(野菜のポタージュ)、魚料理(魚の蒸し焼き)、肉料理(ポトフ)、そしてデザート。

・・・前菜からデザートにいたるまで、美術館のディナーだけあって、いろんな意味でなかなかアーティスティックなお料理である。こだわりとしては、「地場の素材を使うこと」「美的であること」の2つに努力しているように思えた。ときどき奇をてらいすぎてビミョーな味わいになっている皿がないでもないが、まず見た目が凝っていて面白いし、野菜が多めでヘルシーな感じが良い。

コストパフォーマンスという観点からは、同じお値段でよりおいしいお料理が出せるお店はたくさんあるだろうが、場の雰囲気を楽しむという観点ではここの料理はよく考えられている。そして、最終的にはデザートがメチャクチャおいしいので全てが許せてしまう。ここのデザートはホントに凄かった。なんなんだろう(笑)

<写真上>魚料理。蒸したひらめ(確か)の抹茶ソースがけ。
<写真下>デザート。ショコラフォンダンとみかんのピール、ココナツアイス添え